ブログblog
御辞儀
2021年08月10日
☆何年か前に私が投稿したものですが、時々再投稿し続けています。
恥ずかしい事に今でも、「御辞儀」が出来るフルコンタクト空手の選手は少ない。
仕方なく「御辞儀」を試合ルールに加えて、出来なければ減点する大会もあります。
確かに気付く切っ掛けにはなると思いますが、規則だから「御辞儀」をするのではなく、相手に敬意を示す本来の意味を日々の鍛錬、稽古、幼少時からの日常生活により気付いて身に付いていなくてはならない事であると思います。
自分自身以外の方々がいらっしゃるから、己自身の成長が得られる訳ですから………。
「御辞儀」
我がフルコンタクト空手界の人間は試合上での挨拶で何故か「御辞儀」が出来ない、「御辞儀」をしない。
試合場での入退場、正面、主審、相手選手に対しての「御辞儀」だ。
自分自身の魂を磨くことが出来る「試合」に臨むのだ。その神聖な試合場、裁いてくれる主審、何より一番の気付きを自らに与えてくれるであろう相手選手に感謝と敬意を持って御辞儀をするのは当たり前の事。
試合が終われば勝ち負けに関係なく、上記それぞれ「全て」に対して自然に頭を下げて挨拶が出来なくてはいけない。
それが、御辞儀をせずに両腕で十字を切るだけの動作の選手が9割以上。
フルコンタクト空手の人間は「極真空手」の流れの人間が多いので、挨拶の時に十字を切る流派が多い。
つまり、挨拶を「御辞儀」ではなく、「十字を切ること」であると大きな勘違いをしている人間が9割以上なのだ。
「十字を切る」ことは「挨拶ではない」。
「十字を切る」ことは自分自身の心構え、気持ちを表すものであり、意思表示だ。
例えば普段の生活の中で稽古に通う。学校での勉強、部活、会社での仕事などで凄く疲れた。
そんな稽古に行きたくない状態の時、「弱い自分自身」を断ち切る意味で気持ちを奮い立たせて十字を切りながら「押忍!」と挨拶をして、道場に入り稽古をやる。
痛く苦しい組手稽古に恐怖心が湧き、稽古中嫌で嫌で仕方がない。
しかし、組手稽古の時は始まった。弱気の自分自身を引き摺らないように、「押忍!」と十字を切り、弱い自分自身を断ち切って組手をやる。
「やるぞ!」「頑張るぞ!」という意思表示。
試合、組手や稽古が終わった後、思うように試合、稽古が出来なかったかもしれない、成長途中であれば試合、組手の相手に憎しみが生まれてしまうかもしれない、しかし、そのマイナスな気持ちを引き摺らない断ち切る意味で、自分自身の魂を磨くサポートをしてくれている試合相手や稽古をする道場に感謝の意を込め(もちろん、純粋に充実した試合、稽古が出来た場合も)、十字を切る。
そして、自らの鍛錬である非日常的な試合や道場稽古を終え、日常生活へ戻る気持ちの切り替えの意味でも十字を切って御辞儀をして感謝の気持ちと共に帰宅する。
試合場では尚更、確固たる決意が必要であるために、弱い自分自身を奮い立たせる、強い決意を更に高めるために十字を切る動作に偏る、集中してしまう気持ちがわからない訳ではない。
しかし、魂を磨く真剣勝負の試合場に対して、試合を裁く主審に対して、対戦相手に対して礼を尽くす意味で自然に御辞儀が出来ないようでは絶対にいけないと思う。
中には首をチョコンと曲げて御辞儀のつもりでいる選手もいる。しかし、御辞儀は首を曲げるのではなく、首は真っ直ぐで腰を折るのだ。
以前所属していた組織で、御辞儀が出来ないことを指摘し、選手に徹底させるべきではないのかと提案をした事があるが、「深く頭を下げると相手の動きがわからなくなり良くない」ということで相手にもされなかった。
相手の動きがわからなくなるのは首を曲げるからで、首が真っ直ぐで腰を折る正しい御辞儀であれば、相手の動きはわかる。
しかし、何より相手に敬意を示す大切な行為である御辞儀を危険だからするべきではないという意味になりかねない考え方(もちろん礼儀を軽視している訳ではないだろうが重要性に気付いていない)にガッカリした事がある。
極真空手創始者「大山倍達」の空手技術書には、十字を切りながら腰を折っての御辞儀が写真入りで出ている。
日常や道場で会った先生や先輩に御辞儀もせずに踏ん反り返って十字を切ったり、首をペコリで十字を切ったり、こんな事は相手に対して失礼極まりないということに気付いていない。
朝「おはようございます」昼「こんにちは」夜「こんばんは」と言う際に、踏ん反り返ったまま、あるいは首ペコリであるよりも、腰を折って御辞儀をした方が良いに決まっているのは空手をやっていない人でもわかる。
Facebookでウエイト制の世界大会のハイライトシーンの動画があったので、久しぶりに観たら日本選手の素晴らしい活躍と相変わらず見事なまでの御辞儀の無さが印象に残った。
一流選手がこれだから、一般の稽古生が御辞儀をしなくて当たり前^_^。
私の弟子だったら、世界チャンピオンでも「試合と相手選手をなめてるのか!」と翌日から白帯です^_^。
これは批判ではない「願い」だ。皆んなにお手本になる強い選手こそ、空手家のお手本になる事で、素晴らしい影響を与えて欲しいと願うのだ。
あそこまで鍛え上げた素晴らしい選手だからこそ、「御辞儀」は必要だと思う。
もう一度言います「十字を切る行為は挨拶ではありません」決意、意思表示です^_^。
押忍
bujutsudaishizen.com
#空手 #武道 #礼儀 #挨拶 #御辞儀 #鍛錬 #稽古 #成長 #極真 #極真空手 #フルコンタクト空手 #極真会館 #仁心道場